シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くんはDVDを出してきて、颯太にジブリ映画をかけてくれた。昔から有名なアニメで、『散歩』で始まる歌を聞いて、颯太は「この歌ほいく園でならったー」と喜んでいる。

「お客様に急にお手伝いだなんて、不躾にごめんなさいね?」

「あ、いえ。ジッと座ってると手伝うべきか座ってるべきかってジレンマに陥るので。かえって助かります」

「あら、そうなの?」

 良い子ねぇ、と微笑み、私はお母さんから人数分の食器やお箸をお盆に載せて渡された。

 ーー本当に良いお母さんだ。

 彼のお母さんと料理の話などをしながら、私は用意して貰ったお昼ご飯をちゃぶ台に運び、並べた。その途中で原田さんが戻る。

 お母さんは私がシングルマザーとなった経緯を少しも聞かなかった。鳴海くんから多少聞いているせいかもしれないが、それぞれに事情があると察してくれているのだろう。

 それから、ご両親と鳴海くんと私と颯太の五人で食卓を囲み、世間話に興じた。お母さんも原田さんも、颯太の事をとても可愛がってくれているのが会話の節々に感じ取れて嬉しくなる。

 肝心の、結婚の話題については、「あなた達の良いタイミングで挙げれば良いからね? 御祝儀も有るし、また知らせてね?」というアッサリとした反応だった。
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