シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くんは何かしらを考え、「有給ってそんなに取れるの?」と尋ねた。

「あ、うん。月に二日取れる決まりなんだけどね。年末までに消化出来なければ買い取る事もできて。あんまり使ってないから、まだ十日分残ってるよ?」

「そうなんだ?」

 その時ちょうど目の前の信号が赤になり、交差点で立ち止まる。鳴海くんは、うーんと考え、「じゃあさ」と口にした。

「金曜日も有給って取れる?」

「え。取れるけど……」

 ーー何で?

 その日の夜にクリスマス会をするつもりなので、さすがにデートの予定を入れるのもな、と眉を寄せる。

「俺も颯太くんのクリスマス会に参加して良い?」

「え……」

「だって、ほら。冬休みだし。一日一緒に過ごせるから」

 ーーそれはそうだけど。

 いつの間にか、目の前を往来する車の群れがピタリと止まり、私は彼に手を引かれて歩き出す。信号が青に変わっていた。

「クリスマス会は夜だし。夜は、お父さんも居るよ?」

「うん。だから言ってるんじゃん?」

 ーー"だから"?

「半年前に、改めて挨拶しますって言ったから。ちょうど都合が良いなと思って」

 そう言って鳴海くんは、たまに見せる大人っぽい笑みを浮かべた。

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