シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「あぁ、うん。今年から年中さんなんだけどね。帰りのバスが三時前だから、それまではフリーなんだぁ。最近新しくお友達が出来たみたいで、楽しいってさ」

「へぇ、そっかぁ。きっと祥子さんに似て社交的なんでしょうね?」

「ふふっ、どうなのかな〜?」

 年中さんという事は、四歳だ。あの頃の颯太と同じ歳。ふと感慨深くなって、当時の彼を思い出す。

「……で? どうよ、仁くんは。仕事順調?」

 グイと身を乗り出し、祥子さんが楽しそうに笑う。

「あ、はい。あんまり詳しい事は分からないけど、それなりのポストには就けたって。でもブランドの立ち上げはまだまだ先みたいです」

「て言ってもまだ二十五か六でしょ? 仁くん頑張ってるんだね〜?」

「はい。来月には二児のパパですからね。やる気いっぱいですよ?」

 鳴海くんの事を思い出し、ふふっと笑った時、急に辺りが明るくなり、私は右隣りを見上げた。

 それまで建物の陰に隠れていた太陽の日差しがはみ出し、こちらを狙って差し込んでいた。

「颯太くんの様子はどう? もうちゃんとお父さんって呼べてる?」

「え」

 祥子さんの言葉を聞き逃して、一瞬キョトンとする。

「ほら、前に言ってたじゃん? いつまでもジンくん呼びが抜けないって」

「……ああ」
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