シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 私は颯太と鳴海くんの会話を思い出し、またクスッと笑ってしまう。

「時々は呼ぶんですよ? 五歳の時も曖昧に"パパジンくん"とか言ったりしてたし。今朝もね……?」

 言ってから今朝のやり取りにまた笑いが込み上げた。

 **

「ジンくん、これなんだけどさー」

 おもむろにランドセルからプリントを取り出し、颯太が鳴海くんに持っていく。

 あ、例のやつね、と目線だけで確認し、私はシンクの後片付けを始める。

「え、父親参観?」

「そっ」

「六月七日って…颯太の誕生日じゃないか?」

「そーだよ。たまたま土曜だからね。ジンくん、来れる?」

「うーん……ちょっと待って?」

 鳴海くんは箸を止め、机上に置いたスマホを確認する。その合間にも、颯太は真剣な瞳でお願いしていた。

「仕事で忙しいのは分かってるんだけどさ。おれ、今年はどうしても来て欲しいんだよね。来れそうかな? "お父さん"」

 そこではたと手を止め、鳴海くんが颯太を見つめた。

「……行くよ」

「本当??」

「うん。行くよ、行く行く。仕事は調整きくから、大丈夫。颯太の頼みとなったらお父さん断れないよ」

 鳴海くんは声を弾ませ、見るからに喜んでいた。

「やった! 絶対だからね?」

「おう!」
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