シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 言いながらクルトン入りのサラダをフォークですくう。私は首を傾げ、記憶を辿った。

 そう言えば。言われた事は……ある。

 ーー確かあれはベッドの中で……。

 熱っぽい眼差しで私を組み敷き、「いい加減、仁って呼べよ?」と耳元で囁かれた。私が妊娠する前の事だから、大分前の記憶になるけれど、あの時のエクスタシーがふと体に蘇った。

 たちまち顔の中心からぶわっと熱が広がる。

「あ、沙耶ちゃんってば今ヤラシイ想像したな〜?」

「ししし、してないです!」

「本当? アヤシイな〜?」

「てか、言われた事は有ります。でも、その。なかなか"鳴海くん"呼びが抜けなくて」

「ふぅん?」

 祥子さんはニヤニヤしながら、ホットサンドにかぶり付いた。

「……じゃあさ。沙耶ちゃんもここぞって時に呼び捨てにしてみれば?」

「え。こ、ここぞって時って……?」

「ふふっ! それこそ颯太くんに教えて貰えば良いんじゃない?」

 *

 祥子さんとランチを終えてから、帰りにスーパーに寄った。買い物袋一つを提げて帰路を辿っていると、小学生の群れの中に学校帰りの颯太を見付けた。

「颯太っ」

 後ろから声を掛けると、ピクと反応し、先に颯太の友達が「あーっ」と声を上げる。

「颯太の美人のママだ」
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