シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 言いながらテーブルに置いたデジタル時計を見る。五時四十分だ。鳴海くんが仕事から帰って来るまで、まだ二時間もある。

「颯太、ちょっと早いけど夕飯出来たから先に食べる?」

「うーん……晩ご飯なに?」

「炒飯と唐揚げ、あとサラダ」

 颯太は好物のご飯を食べるべきかお菓子を食べるべきかで悩んでいた。

「唐揚げってもう揚げたの?」

「ううん、直ぐ出来るから食べるなら今から揚げるけど」

「どうしよっかな。やっぱりジンくん待ってから食べるよ。それまでちょっとだけお菓子食べるね?」

「うん、分かった」

 祥子さんとランチをした日から一週間が過ぎていた。予定日まではあと二日。いつ陣痛が来てもおかしくない。

 私はゆっくりと立ち上がり、寝室に固めて置いてある入院グッズを確認する。病院に提出する書類や母子手帳がちゃんと入っているのを見てホッとした所で、また微弱な痛みに襲われる。

 時計を見ると六時だった。感覚でいうと二十五分から三十分ぐらい。また前駆陣痛かもしれない。

 ーーどうしよう? お風呂入っておくべき?

 湯船に浸かると胎動が大きくなるので、ササッとシャワー浴だけで済ませる事にした。

「颯太っ、ママお風呂入るねー。出たら呼ぼうか?」

「あー……うん。おれもその後に入るー」
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