シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 状況を伝えると、直ぐに来て下さいとの事だった。

 スマホの時計は六時二十五分を過ぎた所だ。急がなければいけない。

 私はスマホを耳に当て、また電話を掛けた。

『あ、沙耶さん? どうしたの?』

「ごめん、鳴海くん。仕事、まだ帰って来れない?」

『え。あともうちょっとだけど……』

 彼が時計か残りの仕事量を確認しているのか、数秒の間があく。

 その時、さっきまでの鈍痛とは違う痛みがキリキリと広がり、私は顔をしかめてその場に座り込んだ。せっかく着替えたパジャマがさっき漏れた羊水で濡れてしまう。

「……つッ……!」

『え、沙耶さん?? どうしたの??』

「……あのッ。は、破水した……っ」

『ええっ!?』

 いつの間にか直ぐそばに颯太が立っていて、タオルで私の周りを綺麗に拭いてくれる。

 不意にランチをした時に言われた祥子さんの言葉を思い出した。

 ーー「じゃあさ。沙耶ちゃんもここぞって時に呼び捨てにしてみれば?」

「ねぇ、仁。お願い…っ、早く帰って来て?」

『……っ、か。帰るから、直ぐにっ! 飛んで帰る!』

 そのまま電話が切れて、スマホを握り締めた。さっきまでの強い痛みがスッと引いていく。

「ママ、大丈夫?」

 心配そうな面持ちで颯太が言った。

「おれ、何か手伝える事ある?」
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