シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ありがとう、颯ちゃん。それじゃあ、寝室に置いたママの入院グッズ、玄関に運んで貰える?」

「分かった!」

 タタっと颯太がまた廊下を駆けた。ゆっくりと立ち上がり、羊水で濡れた服をまた脱いで着替えた。やはりパジャマだ。

 私が居たせいで拭き切れていない床をタオルで拭こうとすると、「良いって、ママ!」と颯太が焦る。

「あとはおれが拭くから、ママは向こうで座ってて?」

「あぁ…、ごめんね」

 私の手を取り、一人で歩ける? と聞かれるので、大丈夫、と返した。

「てか、ジンくん。遅いの?」

「ううん、直ぐ帰って来るって。だから七時前には着くと思うよ?」

 私が座るのを見てから、颯太がまた脱衣所に向かう。床を拭いた後、ドライヤーと(くし)を持ってまた戻って来た。

 私の濡れた髪を颯太が乾かしてから整えてくれる。

「ありがとう、颯太」

「いーよ、別に、これぐらい。ママ風邪ひくでしょ?」

 颯太の優しさが嬉しい。程なくして、ガチャガチャと音がして、玄関扉が開いた。

 デジタル時計は六時四十五分だ。言葉通り、かなり飛ばして帰って来てくれたようだ。

「ただいまっ、沙耶さん大丈夫??」

 うん、と頷いてすぐ、またさっきの痛みに襲われる。イタタ、と顔をしかめ、座ったままで(うずくま)る。

「さっ、沙耶さん!? どど、どうしよう、颯太っ」

「ジンくん。落ち着いて。とりあえず病院行こう」
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