シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 初めて会った十一の頃から五年が過ぎた。当時高校生だと思われたサヤねーちゃんと同じぐらいの年齢になった。

 サヤねーちゃんは恐らく二十一かそれ以上。大学生できっと彼氏もいる。ハッキリとは覚えていないけれど、多分可愛い人だったと思う。

 親切で優しくて可愛いなんて最強じゃねーか。

 俺の頭の中で、サヤねーちゃんはどんどん美化されていった。

 高校三年生になり、進路を服飾科の専門学校に決めた。変わってるとよく人から言われるが、俺は幼い頃から縫い物に興味があった。

 手先の器用な母親がする、ボタン付けを見たのが始まりだったと思う。

 そして裁縫のみならず、実は編み物も出来る。あれは結構ハマった。帽子とか手袋なんて楽しくてしょうがなかった。

 ちょっとした縫い物から、洋服に関心が移り、実際に作ってみたいと思った。高校生の頃に何度かトライした。本を見て、型紙を取り、生地を裁断して縫う。結構お金がかかった。

 専門学校を選ぶ時、俺にドンピシャな学校が有ると分かり、そこ一本を目指した。あの総合病院に近いのも理由の一つだ。

 一人暮らしをする為に、不動産屋さんに幾つか部屋を見せて貰い、学校の最寄り駅だと家賃が高いので、その手前の駅から少し離れたアパートに決めた。病院へ徒歩で行ける物件だ。
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