シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 学校に行きたいのか病院に行きたいのか謎に思うかもしれないけど、あの病院に行くのは俺にとっての"おまじない"みたいなものだ。

 子供の頃から、俺には変な習慣があって、気持ちが落ち込んだり何かに迷ったりした時はある特定の場所を充電スポットと決めて、その場で妄想する。

 小五までは近所のため池だった。今現在はあの総合病院だ。これは誰にも知られちゃいけない秘密の習慣だ。

 そして、新生活を始めるに当たって、何か人の目を引くような、学生デビューに憧れた。

 今までの暗い自分を脱ぎ捨て、運気を上げる為にまず髪を染めた。思い切ってプラチナブロンドにした。

 美容師さんに勧められて、カラーコンタクトも入れる事にした。俺が俺じゃないみたいで、なんかワクワクした。

 服飾科の専門学校、一人暮らし、美容院代、新しい服とやっぱりお金がかかったが、母親が学資保険で貯めたからと言って、その殆どを出してくれた。

 本当は、俺の結婚資金と決めて貯めていたそうだが、結婚願望の無い俺に見切りをつけたらしい。

 日々の生活費や雑貨代にもかなりお金が要るので、週四でバイトも始めた。

 好きな事をする為に学生が寄り集まったからか、学校は楽しくてしょうがなかった。俺の身なりが目立つせいか、みんな積極的に話し掛けてもくれる。

 その中で澤野(さわの) 勇輝(ゆうき)東雲(しののめ) 愛梨(あいり)の二人と仲良くなった。毎日を三人で行動していた。

 一年の夏、愛梨に告白されて付き合う事になった。俺にとって初めての彼女だ。
< 406 / 430 >

この作品をシェア

pagetop