シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 愛梨はかなり性格が良い。本人の話によるとどこかのお嬢様らしい。

 そして外見が誰よりも抜きん出ていた。美人と言っていいのか、可愛いと言っていいのか、とにかく男女問わず、クラスの奴からもかなり人気が有った。

 そんな愛梨に告白されて、正直舞い上がった。え、俺でいいの? と問いたくもなった。

 自分で言うのもなんだけど、俺は運動神経があまり良くない。コントロール音痴だし、くじ運も悪い。ドジでおっちょこちょいだし、隠しているけれど妄想癖もある変な奴だ。

 それなのに愛梨は俺を選んでくれた。

「仁の笑顔が好き」、「仁の気取らない所も好き」、「思いやりがある所が好き」、「仁といると癒される」

 愛梨は可愛い笑顔でいつも俺を高めてくれる。そんな彼女を喜ばせようとそれなりに行動もした。デートに誘って、手を繋いで、抱き締めて、キスをして……。

 愛梨が望んだから部屋にも上げたし、雰囲気に任せて愛梨を抱いた。愛梨は幸せそうに微笑んでいた。

「仁の全部が好き」

 そう言って俺を丸ごと受け入れてくれた。最高に気分が良かった。あの時駒野の言ってた「彼女作れば?」の意味がようやく理解出来た。

 家族や友達以外で俺を受け入れてくれる奴がいるなんて、最高に幸せだった。

 けれど、愛梨とのそんな日々も一年を過ぎたら変わってしまった。俺が心変わりをしたせいだ。

 九月の終わり頃、沙耶さんと出会ったからだ。

 ***
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