シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
　私は、すみません、とお辞儀をし、今度こそ休憩場所に戻った。

　既に祥子さんがお昼を食べ終えたらしく、お弁当箱を重ねていた。

「沙耶ちゃん、大変だったね。チャックに告白されたでしょー？」

　私は、それが、と言いかけてやめた。澤野くんは、彼なりに愛梨ちゃんを想い、真剣に悩んでいた。だから軽々しく第三者に話すのは憚《はばか》られた。

「……あはは、お腹空きました」

「だよねぇ」

　私はロッカーからお弁当箱と水筒を取り出した。お弁当の蓋をあける頃、祥子さんが洗い物をしに、喫煙所兼、給湯室に向かう。

　ーーヒトの悩みを聞くのって、結構疲れる。

　空腹を満たすため、とにかくご飯にがっついた。そうしたら、気疲れも少しはマシになり、ゆったりした気分でお茶を飲んだ。

　ーーはぁ。食べる事って、やっぱり大切だなぁ。……よし。

　空になったお弁当箱を重ねて私も洗いに行こうと椅子を立った時。急に休憩場所の扉が開き、祥子さんが戻って来た。

「……あ。洗いに行くの？」

「はい」

　祥子さんとすれ違って廊下に出る。

　ーー次は津島さんだ。子供がいる事を話す上で、シングルマザーだと言った方が良いのかな？

　結婚しているかどうかの確認、つまり旦那さんは〜的な質問を受けたら、言う事にしよう。よし、そうしよう。
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