シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
左手の薬指に指輪は無かったけれど、それだけで独身と決めつけるのは早計だ。
冷静に考えて、初っ端から諦めるしかない恋に足を踏み入れたわけだが。俺は彼女と顔を合わせるたび、言葉を交わすたびに夢中になっていった。
本来の目的を忘れて、一と二の問題を先送りにして、彼女にインパクトを与える方法を真剣に考えた。
見た目に関しては既に、やり尽くした感がある。プラチナブロンドの髪に、カラコン、両耳ピアス……駄目じゃん、俺。
今さら何をどう変えてアピールする?
そんな時、クラスの女子が匂いに関する話をしていた。
「元カレのさぁ、その香水の匂いが忘れられなくて」
「あるある。香りってヒトの記憶に残るもんねー?」
ーー香り、か。
そういえば香水はつけていなかったけれど……。
どうなんだ? 香水をつける男イコール、俺の中ではチャラ男だ。
しかしながら、だ。
甘い蜜の香りに蝶が近付いてくれるのを想像して、チャラ男でももしかしたら有りかもしれない、と都合の良い方に考えた。
とにかく必死だった。既婚者かもしれない沙耶さんの目をこっちに向けたかった。
「好きな女の人にインパクトを残せる香りを探しているんですけど……そういうの有りますか?」
冷静に考えて、初っ端から諦めるしかない恋に足を踏み入れたわけだが。俺は彼女と顔を合わせるたび、言葉を交わすたびに夢中になっていった。
本来の目的を忘れて、一と二の問題を先送りにして、彼女にインパクトを与える方法を真剣に考えた。
見た目に関しては既に、やり尽くした感がある。プラチナブロンドの髪に、カラコン、両耳ピアス……駄目じゃん、俺。
今さら何をどう変えてアピールする?
そんな時、クラスの女子が匂いに関する話をしていた。
「元カレのさぁ、その香水の匂いが忘れられなくて」
「あるある。香りってヒトの記憶に残るもんねー?」
ーー香り、か。
そういえば香水はつけていなかったけれど……。
どうなんだ? 香水をつける男イコール、俺の中ではチャラ男だ。
しかしながら、だ。
甘い蜜の香りに蝶が近付いてくれるのを想像して、チャラ男でももしかしたら有りかもしれない、と都合の良い方に考えた。
とにかく必死だった。既婚者かもしれない沙耶さんの目をこっちに向けたかった。
「好きな女の人にインパクトを残せる香りを探しているんですけど……そういうの有りますか?」