シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
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赤いフレームの眼鏡をかけたところで始業時間のチャイムが鳴る。が、パターンを引くための模造紙をうっかり切らしているのに気が付いた。
やべ。
もうじき先生が来るけど仕方ない! 階段を駆け下りて購買にダッシュだ。
ガラガラガラ……とシャッターの降りる音が響く。
どうやら購買を閉めている所らしい。
沙耶さん、いるかな?
そう言えば今日はまだ一度も顔を見ていない。一階から地下への階段に足を掛けた時、ドキドキと心音が高まった。
「……でも勿体ないなぁ」
沙耶さんとは別のお姉さんの声が聞こえた。俺は自然と足を止めてしまう。この階段を降りきったら左手にすぐ購買がある。
「沙耶ちゃん、小柄だし。まだ若くて可愛いから幾らでも恋愛出来そうなのに」
「あはは、可愛くないですよ」
「そんな事ないよー。沙耶ちゃん知らないと思うけど学生の間で密かに人気だよ? ほら、前に来た"チャック"とか、沙耶ちゃん狙いで購買来るんだよ?」
なんの話だ?
女子が好んでする恋愛の話題に違いないが、俺は思わず首を傾げた。
「ああ、確か。澤野くんって子ですよね?」
「そうそう」
確かに、澤野は日頃から沙耶さんを狙ってる素振りがあるけれど……。既婚者がわざわざ恋愛出来るか出来ないかを考えるものか?