シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「……恋愛。するとしても、学生は絶対に無いですよ」

 え。

 沙耶さんの言葉に表情が固まった。

 学生は"絶対に"無い……?

「それにここの子たちはみんな、何かしらの夢を持ってる訳ですから…彼らの夢を邪魔したくないし」

「うーん、まぁ、ね。沙耶ちゃんも息子ちゃんの事を考えたら、ちゃんと働いてる社会人のほうが良いか……」

「はい。結婚できないなら、恋愛する意味無いですから」

 二人の会話を盗み聞きしながら、俺は階段下で立ち尽くしていた。そうしたらまんまと発見された。

「あれ、仁くん。もしかして何か欲しかったの? 残念っ、もう閉めちゃったよ?」

「あ……」

 模造紙……っ!

「次は四時半に開けるから、その時においでね?」

「えぇ、そこを何とか」

 頑張って食い下がれば、このお姉さんが売ってくれるのを俺は知っていた。

「でももうシャッター閉めちゃったし」

「模造紙一枚でいいんで」

 既に閉店スタイルに動かした模造紙の箱に駆け寄り、そこから一本を取り出した。

 さぁ、どうだ?

「もう、仕方ないなぁ。じゃあ、二十円ね?」

「あざーっす!」

 授業時間に遅れた事は注意されるだろうが、とりあえずパターンは引けそうだ。

 あ、………と。

 俺はすぐ後ろにいる沙耶さんへ振り返った。

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