シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 そう思って、喫煙所兼、給湯室の扉を開けようとすると、津島さんが出て来た。

 ーーあれ?

「あ。お昼食べたの?」

「はい。しっかりと」

 言いながら笑いかけるのだが、津島さんはぎこちなく笑った。

「さっき言ってた話の事は。もういいや……お疲れ様」

「え…….。はぁ」

 ーー話さなくていいのなら、私もラクだから、それで良いんだけど。

 何か事情が有ると察してくれたのかな……?

 だとしたら嬉しい。

 私は手早くお弁当箱を洗い、また休憩場所に戻った。

 *

 翌日。

 朝の開店時間を終えて、売れた商品を補充するため私は本店へと足を運んだ。ミシン糸や服飾雑貨、肩パッドなどを本店の一階と二階で集めて回る。

「お疲れ様です」

 事務員の増本さんに前日の売上金を渡して店を出る。私と祥子さんのローテーションで毎日これを行なっている。

 鞄に入れた商品を手に、再び学校への帰路を辿った。

 学校の入り口が見えた時、そこから見慣れた男女が出て来た。彼氏に手を引かれる彼女の姿だ。

 遠目でもそれが鳴海くんと愛梨ちゃんだと分かる。
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