シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 颯太の無邪気な笑みを見ると、会ったばかりのあの子を思い出す。

 無垢で、汚いものなど何一つ知らないあのキラキラした瞳を細めて、颯太は初めて抱く妹を見ていた。そんな姿を見て沙耶さんが嬉しそうに笑い、スマホでちゃっかり写真を撮っている。

 ああ、幸せだなぁと思う。これ以上の幸せはきっと無いだろう、と。

 *

 花音ちゃんの新生児期を終え、生後四ヶ月に入った。最初の一ヶ月はスヤスヤと寝てばかりいた娘だが、四ヶ月目となると起きている時間が増えて、よく泣いてパタパタと手足も動かすようになった。

 沙耶さんが家事でどうしても手が離せないような時は颯太が遊び相手になってくれるらしい。

 花音ちゃんは母乳とミルクの混合育児というやつにしているそうで、二ヶ月までは頻繁に授乳が必要だった。

 沙耶さんは二時間おきに母乳をあげ、夜中も二、三度起きて授乳やオムツ替えを繰り返していた。

 三ヶ月の終わり頃から四ヶ月に入ったところで、授乳の感覚が開いたらしく、「少しだけ楽になったよ」と言っていた。

「時々四時間ぐらいお昼寝してくれるから、私もその時に寝れるし、家事も完璧にはこなさないからね。全然平気だよ? それに颯太がよくお手伝いしてくれるから」

 二児の父親として、沙耶さんの旦那として、何か役に立てる事は無いのだろうかとうっかりボヤいた時。沙耶さんにそう言われた。
< 426 / 430 >

この作品をシェア

pagetop