シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ほら。たまった洗い物や洗濯物片付けたり、上の子の面倒見てあげたり……。
 あ。あとは、奥さんを寝かせてやる事だな。さっきも言ったけど、睡眠不足で育児に追われてる女ほど恐いもんは無いし」

「な。なるほど」

 確かに人は疲れが溜まっていたり、お腹が空いていたりすると、かなりの確率で不機嫌になる。

「あ。あと、それとな? なまじ育児書なんて買って帰って余計な蘊蓄(うんちく)、披露させてみろ? たちまち顰蹙(ひんしゅく)を買うぞ? そんな知識よりもたまに子供の面倒を全部引き受けて、奥さんにリフレッシュさせてやる方が効果的だ」

「そうなんですか……」

「ああ。鳴海のとこはまだ生まれて四ヶ月目だし、一歳過ぎるまでは奥さんも子供から離れるのは嫌だろうからアレだけど。
 時々タイミングを見て、奥さんを自由にさせてやるのは効果てき面だぜ?」

 そう言って先輩は、良い事を言ったと言わんばかりのドヤ顔をした。

 沙耶さんに自由な時間を、……か。

 日頃から育児を全面的に引き受けてくれているからこそ、今日だけはキミの好きに過ごしていいよ、と。

 自由にさせて充電して貰う事だな、と理解した。

 確かに煩雑な時間から解き放たれて、充電する事は大切だ。

 その実、俺も社会人になるまではその時間の必要性を感じていた。
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