シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 澤野くんにとって、本当に愛梨ちゃんは大切な存在なんだなぁ、としみじみ思った。

「チャックてば、なんかガッツあるよね〜?」

 祥子さんは相変わらず誤解したままだ。

 ーーどうしようかな。本当は違うんです、と言いたいけど。あの子の事情を考えたら言うに言えない。

 何となく言い出せないまま、私は笑って誤魔化した。

 *

 次の日、颯太が熱を出した。沸騰したヤカンのように頭が熱く、どうしようと不安になった。

 私はすかさずインターネットを繋ぎ、かかりつけの小児科に予約を入れた。

 季節的に考えて、もしかしたらインフルエンザかもしれない。

 携帯を手にそのまま電話を掛ける。

「あ、おはようございます。購買勤務の水嶋です。朝からお電話すみません」

『あら、おはよう? どうしたの、水嶋さん』

 電話の相手は本店の代表である社長だ。

「……その。息子が急に熱を出してしまって。心苦しいのですが、今日お休みさせて頂いても大丈夫でしょうか?」

 仕事の面接を受けた時、こういうケースで急に休む事が有るかもしれない、と社長には伝えていた。服飾店の社長は私と同じ女性なので、その点は話が早く、二つ返事で了承を得られた。
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