シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
『ああ、はい、分かりました。そういう事なら代わりに増本さんを行かせるから、あなた心配しなくて良いわよ? 息子ちゃんの面倒見てあげて?』

「ありがとうございます、助かります」

 携帯を耳に当てながらついお辞儀をする。

 お大事にね、と言葉を残し、社長は電話を切った。

 ーー事務員の増本さんか。今度会ったらお礼を言っておかないと。

 それから保育園にもお休みの連絡を入れる。颯太を父の車に乗せて、小児科に連れて行った。

 抱っこしてエレベーターに乗った時、ふと鳴海くんと初めて会った時の事を思い出した。

 あの時はエレベーターが止まって大変だったけど、この狭い空間に閉じ込められたのが、彼で良かった。

 軽快な到着音が鳴り、私は三階フロアにある小児科へ向かった。

 診察の結果、ただの風邪と判断された。処方するお薬を五日間、しっかり飲み切れば直ぐに良くなると言われて、ホッと安堵する。

 ーーインフルエンザとか、ウイルス性のものじゃなくて良かったぁ。

 先生にお礼を言い、颯太を抱えて小児科を出た。

 咳のど鼻水のお薬を薬局で貰い、解熱剤も出して貰った。
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