シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 お昼ご飯を食べさせてから体温計で測ると、熱が下がっていた。お薬を飲ませて、颯太とお絵描きやブロック遊びをし、昼寝をさせる。

「多分我慢してたからじゃないかしら?」

「……え?」

「颯太の熱」

 私は茶碗を洗いながら、母の言葉に耳を傾けた。

「沙耶が頑張って仕事してるから、颯太もいい子にしようって保育園で気をはってたのね……」

「……」

「ほら、今度の所は勤務時間が長いでしょう? あの子、口では沙耶を応援してるけど。やっぱり寂しいのよ。まだ四歳なんだから、ママを求めるのは当然なんだけどね」

「……そうだね」

 本当はずっとそばにいて欲しい、でもわがままを言うと私を困らせる。母の言う通り、日々積み重ねた葛藤で、颯太は熱を出したのかもしれない。

 皿や茶碗を洗い終え、キュッと水道を止める。

 ーー私も、母親としてはまだまだだなぁ。

 *

 夕方になり、また少し颯太の熱が上がってきた。汗をかいたパジャマを脱がせて着替えを済ませる。

「マーマぁ」

「うん? なぁに、颯ちゃん」

「ぼく、アイス食べたい」

「アイス??」

 ーーこの寒いのに。

「うん、バニラのやつ」

 私は布団で横になる颯太の首元と脇を触った。

 ーー確かに体は熱いもんな。
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