シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くんは乗っていたサドルから降り、「俺も一緒に行っていい?」と尋ねた。

「ちょうど煙草切らしてたし」

「え、うん。まぁ……」

 この間の帰り道みたいに、彼と並んで歩く事になった。

 夜道に二人っきりというシチュエーションを思い、以前には無かった緊張で心拍数が早くなる。

「あのさ……」

「あ、うん、なに?」

 動揺を悟られたらいけない。私は必死で平気なフリをする。

「澤野に告白されたりしたの?」

「……え?」

 何でだろうと、一瞬キョトンとする。

「昨日の朝、あいつ沙耶さんの事女神とか言ってたから」

 ーーああ、なんだ。その事か。

「あれはね。遊びで言ってただけなんだよ」

「遊び?」

「そう、澤野くんにはちゃんと本命の女の子がいて、私が相談に乗ってアドバイスなんかしたもんだから。あの子、変に敬ってくれちゃって」

「そー、なんだ」

「うん」

 一度は納得したのか、鳴海くんは目を伏せて首肯するのだが。今度は別の質問を投げてきた。

「じゃあ、事務局の津島さんは?」

「え?」

 ーー津島さん?

「あの人とはどういう関係?」
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