シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 私も立ち止まり、後ろの彼を振り返る。

「こっち行ったら、確か総合病院だったよね?」

「あ、うん。そうだね」

「颯太くんを生んだのって、あの総合病院ですか?」

「……え。うん、そうだよ。昔から、あの病院には色々とお世話になってるから。ほら、風邪とかでも」

「そっか」

 コンビニに着き、ご所望のバニラアイスを幾つか買って帰る。

 帰り道、何となく気になっていた事を尋ねてみた。

「そういえば、澤野くんが心配してたよ?」

「え?」

「鳴海くん、愛梨ちゃんと付き合ってるんでしょ? それなのに、上手くいってないって聞いて」

 自転車を押しながら、鳴海くんは無言で地面に目を落とした。

「あ、ゴメン。お節介だったよね、忘れて?」

「いや、そんな事ないよ?」

 そう言って微笑まれるので、私は次の言葉を待った。

「俺、さ。実は今日、愛梨と別れたんだ」

 ーーえ。うそ……。

「最低だって、思うかもしれないけど。愛梨の他に、好きな人が出来て」

「……そうなんだ」

 ーーそう言えば、前に澤野くんも言ってたな。鳴海くんの心変わりかもしれないって……。

「その人って、どんな人?」
< 53 / 430 >

この作品をシェア

pagetop