シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「……うーん、えっとね。優しくて、思いやりがあって、自立してて。笑顔が凄く可愛い人」

 言いながら彼は遠い目をした。

「俺ね。その人と初めて会ったの、大分昔なんだ。九年前」

「え、そんなに!」

「うん。俺が十一の頃、初めて会って惹かれて。でも、会えなくなっちゃって……諦めてた」

 ーーそれじゃあ、九年越しの想いって事?

 でも、途中で愛梨ちゃんとも付き合ってる……、ああ、そうか。

 愛梨ちゃんは……本命にはなれなかった、そういう事なんだ。

 私は無言で下唇を噛んだ。

 何か。痛いなぁ……また心臓が苦しくなってきた。

 鳴海くんに、そんな想い人がいたなんて。

「初恋なんだよね」

「そうなんだ……」

 声は自然と沈んでいた。

「うん、でね。また会えるようになって、やっぱり好きだなって凄く想うようになって。それで……。愛梨と別れた」

 どこだろう? どこで再会したんだろう?

 バイト先、とか……?

「……その彼女とは、上手くいきそうなの?」

「うーん、微妙、かな。色々と頑張ってるけど、あんまり手応え感じないし」

 そっか、と相槌を打ち、下手な笑みを浮かべた。

「上手くいくと良いね?」

 ーー嘘つき。本当はそんな事、思ってないくせに。

「うん、ありがとう」

 幸せそうに笑う鳴海くんを見て、切なくなった。

 ーー私は。鳴海くんが好きだ。
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