シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 一枚組みを箱一杯にした時、コンコンと休憩室の外に置いた棚をノックされ、ヒョイと廊下に顔を出した。

 ーートワールが届くには、まだ日が早いんだけど。

 てっきり業者さんかと思って、はーい、と返事をして出るのだが。そこに立っていたのは鳴海くんだった。

 ーーっ、何で??

 私は多分、思い切り眉をひそめたと思う。

 失恋した相手を見るのが辛くて、サッと目を逸らした。

「どうしたの? 今は商品売ってあげられないよ?」

 模造紙の束と向かい合い、また作業に取り掛かる。

「……分かってる」

「じゃあなに? 授業抜け出してきちゃ駄目じゃない。先生に叱られるよ?」

「大丈夫。課題はちゃんと終わってるから」

 じゃあ何しに来たんだろう?

「沙耶さん、俺何かした?」

「……え」

 心臓がドキンと音を立てた。

「何で無視するの? 何でこっち見てくんないの?」

 私は真っ白い紙面を見つめながら、声を振り絞った。

「そんな事、ないよ?」

 目を横に滑らせ、首を動かした。正面から鳴海くんを見て、ちゃんと見てるでしょう、と示した。
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