シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 相変わらず綺麗なプラチナブロンドの髪で、目にはグレーのカラーコンタクトを入れている。

 黒のロングカーディガンとV字に開いたブルーグレーのカットソーが、凄く良く似合ってる。

 ーーやっぱり、カッコいいなぁ。

 好きだから余計にそう思うのかもしれない。香水の香りも、相変わらず爽やかで好ましい。

 私はまた模造紙に目を落とし、遠回しにもう関わらないで欲しいと告げる事にした。

「……本命の子とはどう? 上手くいってる?」

「まだ微妙、だから必死にアピってるよ」

「そっか。……て言うか。その彼女に誤解されるといけないから、私と喋ったりしない方が良いよ?」

「……」

 鳴海くんは一瞬だけ、眉をひそめた。

「あ、もしかして模造紙が欲しかったのかな? 何枚?」

「いや、要らないよ」

 そう言って、鳴海くんは私に近付き、休憩室の扉を後ろ手に閉めた。

 ーーえ?

 三畳しかないこの狭い空間に、好きな人と二人っきりなんて、あり得ない。

 私は模造紙から手を離し、しきりに瞬きをした。

 すぐ近くに立っているのが居た堪れなくて、一歩二歩と後ずさる。

「本命の人は必死にアピってるけど、全然気付いてくれない」

「え、そう、なの?」
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