シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 私が笑ったからか、それまで硬い表情だった颯太が「あはは」と笑い声を上げた。

「ねぇねぇ、おにーちゃん」

「うん?」

「髪、まっ白だね。どこでたまてばこ開けたの?」

「え?」

 ーーうわ、何その質問! 恥ずかしいっ!

 保育園で最近読み聞かせのあった“浦島太郎”を思い出しているのだろう。

「あははっ、開けてないよ? お兄ちゃんは龍宮城には行けなかったから、自分で染めたんだ」

「ふぅん……?」

 颯太は分かったのかどうか曖昧な顔で首をこてんと傾げていた。

「すみませんっ。この子、普段は人見知りするんですけど……」

「いえいえ、大丈夫です。俺、昔っから動物と子供には懐かれるんで」

「はぁ」

 ーー何て言うか、凄く気さくな男の子だ。颯太もこんな風に育ってくれたら嬉しいな……。

 それから十分少々でエレベーターは動き始めた。聞き慣れた機械音を鳴らし、一階へと到着する。

 扉が開くと、管理会社のおじさんが二人いて「大変だったねぇ。大丈夫でしたか?」と労ってくれた。

「ところでお兄さん。コレお兄さんのキーホルダー?」

「え?」
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