シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 カラーコンタクトの瞳から逃れられない。

 鳴海くんは顔を傾けて、また唇を押し当ててきた。

「……んんっ」

 さっきのキスとは違って、少し荒々しく情熱的で、食べられるような口付けだった。

 唇を割って熱い舌が入ってくる。口内を探索し、私の舌を絡め取る。

 背中がビリビリと震えて、次第に頭の芯がぼうっと痺れてくる。

 ーーあっ。どうしよう、こんなの……っ。

 甘い感覚が気持ち良くて、頭がふわふわとする。

 長いキスを終え、鳴海くんが切なそうに眉を寄せた。

「俺、凄く好きなんだ。だから早く。沙耶さんと両思いになりたい」

「鳴海、くん」

 顔から生まれた熱が全身へ(ほとばし)り、頭がクラクラする。

 彼は物憂げな吐息をつき、 私の肩に項垂れた。自然と耳元で囁かれる形となった。

「俺、颯太くんを大切に想う沙耶さんの、丸ごとが大好きだよ」

「……っ」

「颯太くんの父親には、まだ頼りないかもしれないけど。いずれはそうなりたいって思ってる。俺、本気だからね?」

 ズルズルと力が抜けて、私は床にへたり込んだ。
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