シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
6.ふとした気持ちの行き違い


 あの後。手が震えて、足も震えて中々立ち上がれず、ろくに模造紙も巻けなかった。

 鳴海くんの告白は本物だった。面白がって私をからかってるんじゃない。だから余計に戸惑った。

 鳴海くんは学生だし、こんな専門学校に通ってるんだから夢もきっとあるだろう。颯太の父親として結婚を考えるなら、完全にNGだ。

 でも、私自身はもう今の状況に舞い上がっている。あのキスだって拒もうと思えばそう出来たのに、拒みたく無かった。

 好きな人とのキスなんて、もう何年振りだろうって。甘い感覚に酔いしれた。颯太の母親なのに、私は一人の女として、鳴海くんを受け入れたいって思ってしまった。

 ーーどうしよう。

 好きな人が五つも年下の学生なんて、どうすればいい?

 私は必死で頭を働かせ、鳴海くんの事を考えた。仕事が終わり、帰宅してからもぼうっとする事が多く、母に心配された。

 颯太をベッドで寝かし付け、部屋を出る。一階に降りて、キッチンで温かいハーブティを淹れた。

 マグカップに口を付け、ふぅと熱い吐息をもらした。

 鳴海くんから聞いた本命の人の話を思い返すと、私と九年前に会ってるって事だけど……。

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