シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「どうしたの、ママー? 顔まっかっかだよー?」

「う、ううんっ? 何でもないよ?」

 じゃあ行くねっ、と手を振る息子にバイバイと振り返す。未だ、頬を染めたままで自転車にまたがった。

 ーー「何で気付かないの? 俺が好きなのは沙耶さんだよ?」

 あの告白の後、信じられないぐらい情熱的なキスをされた。口の中で彼の舌と絡まる感触を思い出し、また頬が熱くなる。

 ーー何なの、あの子。なんであんなに大胆で行動的なの??

 最寄り駅に着き、自転車置場に止めると改札口に向かった。

 ーーあぁあ、今日どんな顔して会えば良いの??

 絶対何か買いに来るだろうし。変に避けたり、顔背けたりしたら無理やり覗き込んでくるのが鳴海くんだ。駄目、絶対赤面する。学生たちに変に思われちゃうよー。

 悶々と心の中で唸っていると、「沙耶さん!」と後ろから声を掛けられた。

 ーーうん? この声は……。

 赤い顔で恐る恐る振り返ると、鳴海くんが手を振りながら、満面の笑みで走ってくる。

 ーー出た!

「きゃあぁっ」

 つい悲鳴を上げてしまい、周囲にいた人が数人こちらを振り返る。

「あははっ、何だよ、きゃあって。俺変質者じゃ無いよー?」

「ご、ごめん。心臓に悪くって……っ」

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