シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「……んで、学校出てすぐに声掛けようかと思ったんだけど、それだと知り合いに見られるし、沙耶さんに絡んで何か言われるとダルいなと思って。
 だから電車に乗る前に声掛けようと思ってついて行ったの。でも途中で沙耶さん見失っちゃって。それで見付けて駆け込み乗車」

「……」

 なにそれ。

「す、ストーカーですか?」

「あははっ、酷いなぁ、沙耶さん」

 無邪気な笑顔を見せるたびに、鳴海くんの白い八重歯がチラリと覗く。

 ーー普通につけられてるの、気付かなかったし。鳴海くんって忍者?

「俺って、必死でしょ?」

「うん」

「こんな俺の事、少しぐらい好きにならない?」

「……っ、」

 てか、もう好きだし。凄く好きだから、どうするのが最善なのか迷ってるのよ。

「まだ……、考え中」

「そっか、じゃあじっくり考えてね? 水嶋 沙耶さん?」

 ーー何でフルネーム?

 いまいち鳴海くんが分からない。

 自分の感情に従って、付き合う?

 正直付き合いたい、とは思う。もう二度と恋愛出来ないだろうなと諦めていただけに、鳴海くんとの出会いは神様がくれたチャンス。

 でも、鳴海くんと付き合うという事は、いずれ颯太の父親になって貰う事で。

 鳴海くん本人はそれを了承済み。

 だとしたら後は……。颯太の気持ちだ。颯太が嫌じゃないかどうか。

 ーーあ。

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