シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 そこで目からウロコが落ちた。

 ーーそっか。要はお金の問題じゃないんだ。

 鳴海くんが学生で夢もあって、社会に出るのがまだ先だとしても。私は今のスタンスでこれからも働ける。

 貯金をためて、鳴海くんもしっかり働くようになってからでも籍は入れられる。

 だから。今一番大切なのは、颯太の気持ちだ。颯太が鳴海くんを受け入れられるかどうか。

 電車がホームに着いた。

「じゃあ俺、先行ってるねー?」

 走って行く彼を見て、思わずポカンとなった。

 え、一緒に行くんじゃないの? 思わずそう言ってしまいそうになった。

 電車を降りてから学校に向かって歩き、これからの事を考えた。

 ともかくは。颯太を鳴海くんに会わせよう。

 どこか……三人で遊びに行くのでも良い。外は寒いから中で遊べるところ。颯太が喜びそうで……鳴海くんも一緒に遊んでくれるところが良いな。

 学校の前に立ち、一つ、息を吐いた。目の前に白いモヤがふわっと浮かぶ。

 ーーでもこれって。鳴海くんをデートに誘う事になるよね?

 だとしたら、私も好きだと先に返事をしなくちゃいけない。

 そう思うと顔の中心から頬にかけて、熱が広がった。

 ーーどうしよう、いつ告おう?

 好きな人と気持ちが通じ合えるんだと思うと、自然と頬が緩み、はにかんでしまう。

 私は学校に入り、仕事を始めるため購買部に向かった。
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