シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 おじさんの手に乗った小型銃を模したキーホルダーを見て、学生さんはアッと口を開けた。

「あ、はい。俺のです。もしかして、コレが……?」

「そう。乗る時、キミ鞄挟んだでしょう? 外側になったキーホルダーが配線に引っかかって、止まっちゃったみたい」

 はいコレ、と手のひらに返されたそれを見て、学生さんはしょげた顔で私と颯太を見た。

「すみません。やっぱり俺のせいでした」

「いえいえ、そんなっ。もう済んだ事なので」

 申し訳無さそうにする彼が不憫で、掛ける言葉を探していた。

「ドンマイっ」

 颯太が学生さんの足をポンと叩き、とりあえずその場は笑いでやり過ごす事が出来た。

 初めて彼と出会った火曜日から二日後。

 鳴海くんとの二度目の出会いは木曜日の午後に訪れた。

 カンカンと音が鳴り、黒と黄色のバーが私の行く手を阻んだ。

 開かずの踏み切りと揶揄される場所で、私はその日、颯太と足止めを食っていた。

 一度閉まったら五分は絶対に開かない踏み切りで、ついため息が漏れた。

「うわぁおー、電車、電車ぁ〜〜っ」

 電車好きの息子がせめてもの救いだ。

 ーーん? あれは……。
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