シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 びっくりして目を見開いたままフリーズしていると、津島さんが穏やかな笑みを浮かべた。

「水嶋ちゃん、今でもフリーだったりする?」

「え、あの」

「やっぱりもう彼氏いたりする?」

「彼氏は、いないんですけど。好きな人はいます」

「そっかぁ……」

 がっかりと肩を落とす津島さんに、何と声を掛けて良いのか分からず、「ありがとうございました」ととにかく頭を下げた。

 洗いものと漂白を終えて、休憩場所に戻る。

「……あの、祥子さん。どういう事ですか?」

 休憩室の扉を開けると、携帯をいじっている祥子さんが目に入り、私は首を傾げた。祥子さんは目を合わせようとはしなかった。折り畳み式の机を広げて、椅子に座っている。

「沙耶ちゃん、津島さんに聞いたんでしょ? ついでに告白もされた?」

「……はい」

「だったら分かるでしょ。嘘ついたの、津島さんに」

「何で、ですか?」

 私は扉を開けたままで、依然そこに立ち尽くしていた。

「津島さんが沙耶ちゃんの事好きっぽかったから」

「それで……何で嘘?」

 そこでハッとなる。

「もしかして、祥子さん、津島さんの事……?」

「ううん、別に好きじゃないよ。不倫なんてする気ないし」

「えぇ?」

 サッパリ意味が分からない。

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