シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 何となく放っておけなくて声を掛けた。少年はゆっくりとした動作で私に顔を向けた。

 ーーあっ。

 顔が真っ青だった。黒く丸い瞳を潤ませ、あぶら汗まで浮かべている。

 お腹に当てた両手をTシャツごとグッと握り締め、少年はコクンとひとつ頷いた。

 ーーえぇ? それ絶対に大丈夫じゃないやつでしょ??

 私はキョロキョロと周囲を見回し、少年の隣りに席を移動した。

「……あの。お母さんは?」

「電話……行ってくるって。さっき……っ」

 少年は苦しそうにしながらも、母親が向かった自動ドアの先を指差した。

「……そっか。電話か」

 ーー外にいるんだ……。

 どうしようかな、親が近くに居るんだったら呼びに行けるけど、電話で外に出てるなら誰がこの子の親か分からない……。

 少年はまた背中を丸め、お腹を押さえていた。

「あの、すみませんっ」

「はい?」

 ちょうど近くを通りかかった、看護師さんらしき女性に慌てて声を掛けた。そのまま立ち上がり、彼女に駆け寄った。

「あの席の男の子が凄く苦しそうで、直ぐに診て貰えませんか?」

 看護師さんは少年の存在を確認し、次いで私に目を向けた。

「ええと、あなたは? あの子のお姉さん?」
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