シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
8.気持ちが通じ合う幸せ
「おはよー、沙耶さんっ」
駅の改札を抜けた時。鳴海くんに声を掛けられた。
あの告白を受けた翌日から、私の出勤時間に合わせて、鳴海くんが登校するようになっていた。
ホームで電車を待っている時と電車に乗っている間は、私と彼との二人だけの時間、そう思って、私は鳴海くんに心を寄せていた。
初めての出会いを思い出せたからかもしれないが、あの少年がこんな風に成長したんだなぁと思うと、今の鳴海くんをなおいっそう愛おしく想う私がいた。
「あ、ねぇ、鳴海くん」
「うん?」
「今日一緒に帰れないかな?」
「え?」
駅のホームに二人で並び、電車を待っている時。私は彼を見上げて問い掛けた。
「私が仕事終わるまで待ってて貰わないといけないんだけど……」
「あ、うん。勿論それは良いけど……」
何で、と聞きたそうな顔をする彼に、私はフッと口角を上げた。
「あのね。告白の返事をちゃんとしておきたくて」
「え!」
鳴海くんにとっては、予想外の言葉だったらしく、丸い瞳を見開き、口をあんぐりと開けていた。