シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

「そんな……、早くない？　もっとゆっくりでも、俺は大丈夫だよ？　全然待てるし」

「うーん…」

「って言うか、沙耶さんっ。俺はもっと俺の事をゆっくり考えて貰いたいんだけど？」

　鳴海くんは余裕の無い顔で焦っていた。ちょうどその時、待っていた電車がホームに滑り込み、私は彼と共に車両に乗り込んだ。

「ううん、もう考える時間は必要無いから」

　鳴海くんへのこの気持ちは恐らく変わる事はない。

　ーーそれに、これからの事も早めに考えておきたいし。

　私の言葉を受け、彼は、う、と顔を歪めた。

「……わ、分かった。帰り、一応授業終わったら連絡入れるね？」

「うん。私はきっちり六時半に終わるから……。どうしよう？　駅かどこかで待ち合わせる？」

「あ、うん。沙耶さんがその方が良いって言うならそれで。またこっちからも連絡入れるし」

「分かった」

　どこか覚悟を決めた彼を見ているうちに、電車が降りる駅に到着する。

　いつものように、電車を降りると足早に走り去る彼をぼんやりと見送った。

　鳴海くんに気持ちを伝えて、それから颯太の話をしよう。今月中に鳴海くんと颯太と私の三人でお出掛けして、少しずつでも良いから、颯太と仲良くなって貰おう。