シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
　全部が全部、自分本位な考えになるけれど、鳴海くんとの結婚を考えるなら早めに行動しておきたい。

　十一月中旬の寒空の下、雲の切れ間から明るい日差しが漏れるのを見て、私は決心を固めた。

　＊

　六時半きっかりにシャッターを下ろし、エプロンのポケットに手を入れる。

　スマートフォンを確認すると、鳴海くんからメッセージが届いていた。

　【Saikaって名前のカフェで待ってるね】

　鳴海くんの言葉に、あのカフェかと胸中で呟いた。駅構内にある、割とお洒落なカフェだ。

「じゃあ祥子さん。お先に失礼します、お疲れ様でした」

「お疲れ〜」

　着替えを済ませて、私は休憩室を後にした。

　学校の出入り口をくぐると、真っ暗な空と冷たい木枯らしに身を晒され、ブルっと体が震える。

　今日はいつもより一時間ほど遅い帰宅になると、母には休憩時間中に伝えていた。仕事の同僚の方と話をしてから帰ると嘘をついたので、幾らか罪悪感もあったのだが。

　私は今、無性に鳴海くんに会いたい。
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