シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 顔を上げ、ビクッと肩が揺れる。目の覚めるような明るい金髪を見て、あの子だ、と思った。勝手に心臓がドキッと音を立てる。

 彼は煙草を咥えながら丁度隣りに袋を置いていた。

「あ、おはよう…ございます」

 何となく、挨拶をしてみた。一応は顔見知りだし、やはり無視はいけないと思って。

「……おはようございます」

 彼は眠そうに目をしょぼしょぼさせていた。カラーコンタクトはまだ着けていない。

 ーーここにゴミを出すって事は、すぐ隣りのアパートに住んでいるのかな?

 そうは思うけど、思い切り個人情報なので聞くに聞けない。

 取り分け、若い彼と話す話題も見つからないので、私は「それじゃあ」と言って立ち去ろうとした。

「あの…っ」

「えっ、あ。はい?」

 意外にも話し掛けられ、ビックリして振り返った。

「多分会うの、三回目ですよね?」

「あ。はい」

 彼は一度、紫煙を吐き、咳払いをした。

 何だろう、そう思いながら彼の動作を目で追っていた。

「三回も会ったらもう知り合いみたいなもんだし、自己紹介してもいいですか?」

「え」

「それにご近所さんですよね?」

「ええ、まぁ」

 彼はニコッと笑い、また八重歯を見せた。
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