シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

　街灯の点いた公園を見て、日中に来る時とは全く違う印象を受けた。電気の灯りがある分、不気味といった雰囲気は無いが、誰もいない遊具に少しだけ寂しさを感じる。

　入って直ぐのスペースに自転車を停めて、ジャングルジムやブランコ、砂場を通り過ぎる。

　冷たい風がさわさわと木々の葉を揺らすその下に、木製のベンチが置いてある。

「こんな所に公園なんて有ったんだ……」

　鳴海くんが私の後ろでポツンと呟き、私に続いてベンチに荷物を降ろした。

　ノートの紙面一つ分の間隔を空けて、彼が隣りに腰を下ろした。

「お店とかじゃ無くて、ごめんね？」

「え、ううん。大丈夫、だよ？」

「ちょっと。ゆっくり話をしたいから……ガヤガヤした所は嫌で。帰り、八時過ぎても大丈夫？」

「……え」

　鳴海くんはキョトンとし、慌てて左腕に目を落とした。白いG-SHOCKの腕時計を見て首を傾げている。

「俺は、別に良いけど。沙耶さんこそ大丈夫なの？　てか、一時間ぐらい一緒にいてくれるって事？」

「……うん」

　そう言って顔を上げると、鳴海くんは若干嬉しそうに口元を緩ませた。

「……私、思い出したの。鳴海くんと初めて会った時の事」

「え、それって。あの総合病院での事？　マジで？？」