シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「うん。あの具合悪そうにしていた男の子が鳴海くんだったんだね? あの後ちゃんと看護師さんに運んで貰えた?」

 コクン、と深く頷き、鳴海くんは恥ずかしそうに右手で口元を覆った。

「実はあの時。俺、盲腸をやらかしてて。直ぐに入院して手術になったんだ」

「そうだったんだ?」

 ーー盲腸、か。

 私は(かか)った事が無いから分からないけど。凄く痛いって聞いた事がある。

「母親がさ……、血相変えて病室に駆け付けて。凄い心配しててさ。
 でも、沙耶さんの事話したら、親切な人が側にいて本当に良かったね、有り難いねって。沙耶さんに感謝してたよ」

「……そっか」

 そうだろうなぁと思った。もし、私も同じ立場だったとしたら、そう言うだろう。

 颯太が私の居ない所で苦しんでいて、それを助けてくれた人がいたとしたら、感謝してもし尽くせない。

「俺さ。母子家庭なんだ」

「……え?」

 鳴海くんの言葉に不意を打たれ、目を見開いたまま固まってしまう。

「と言っても。小六ぐらいの頃からなんだけどさ。親が離婚して、母さんと二人暮らしだった」

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