シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「それは。沙耶さんと二人っていうのが嬉しくて。
 ……俺、また沙耶さんと出会えたから凄く舞い上がってたんだ。だからいつも沙耶さんの事ばっか考えてたし、早く行動しないと誰かに取られるかもしれないって、焦ってた」

「……焦る必要ないよ? 私、モテないし」

「そんな事ないよ。俺のクラスの奴も、何人かは沙耶さんの事狙ってんだって。津島さんだってそうだったし」

 私はそこで一旦黙り込んだ。

 そういえば、津島さんに告白されたんだった。

「俺さ、告白してから時間が経つごとに……だんだん冷静になってきて。もしかしたら早まったんじゃないかって凄く後悔したんだ。だから、出来るだけ返事も先延ばしにして貰おうって、考えてて」

「……私が断ると思ってたの?」

 鳴海くんは赤い顔で頷いた。

「沙耶さんが前に言ってたの、聞いちゃったから」

「聞いちゃったって。何を?」

「……え、と。恋愛するとしても、学生は絶対に無いって。結婚出来ないなら恋愛する意味も無いって」

 そんな事言ったかな、と考えてふと思い当たる節にぶつかった。

「ああっ、前に祥子さんと話してた時だね? あの時は、確かにそう思ってた。私、前の恋愛で失敗したからさ。もう二度と好きな人なんて出来ないってそう思ってたし」
< 95 / 430 >

この作品をシェア

pagetop