シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くんは、両手で私の頭を抱えるように、口付けを深くした。唇の隙間から舌を差し入れられ、私のそれと絡まった。

 口内に気持ちいい感触が広がり、徐々に脳が溶けていくみたい。息継ぎのタイミングがズレて、途中で声が漏れる。

 私のその羞恥すらも、彼にとっては甘さの材料となり、浅い深いをコントロールしてキスを繰り返した。

 長い口付けから身を離した時、お互いに上気し、彼の瞳はとろんと熱を帯びていた。

「……ハァ。こんなに興奮したの初めてだ」

「あのっ、鳴海くん…っ」

 彼の指が私の唇をなぞり、もう片方の手はこめかみ辺りの髪に差し入れられた。

「もう一回する」

「……んぅ…っ」

 ーーあっ。どうしよう……っ。

 下腹部がキュンと疼いて、私はあの感覚を思い出した。

 かつて颯太の父親を愛し、ベッドで体を重ねた時の興奮が頭の中を埋め尽くした。脳の芯が甘く痺れて、ふわふわした感覚を制御できない。

 鳴海くんのキスは気持ちよくて、寒さなんてもう微塵も感じなかった。

「好きだよ、沙耶さん」

「……ん。私も」

 唇が離れ、抱き締められた。心臓の音がバクバクと鳴り響き、太鼓のようだ。
< 99 / 430 >

この作品をシェア

pagetop