女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 次の日も送り迎えをしたが、特に変わった様子はなかった。
 昨日の件を作業長は謝ってくれたと、遥は安堵した様子で報告した。

 思うところはあるが、せっかく働き出して慣れてきた職場。
 波風を立てたくはない。

 それになにかあれば、パートのおばちゃんたちが守ってくれそうな気さえする。
 杞憂だったかと思い、いつも通り帰宅した。

 食事を終えた晶に、遥は思い詰めた様子で話し出した。

「私たちの関係の先には、なにがあるんでしょう」

「は」

 なにを言い出したのか、全く理解できなかった。
 ただ、状況が悪いという空気だけは、感じ取れた。

 その証拠に、遥はソファに座る晶に近づかず、離れて話す。

 クソババアが動いていて、杞憂で終わるわけがないのだ。
 楽観視していた晶に、遥は容赦なく話し続ける。

「快楽に溺れるのが嫌だって、アキは言ってましたよね」

「ああ」

 嫌な映像がチラつきそうになり、指先が冷たくなる。

 こんな話をするのに、遥を抱きしめながら話せない今を心許なく感じるとともに、自分の弱さを痛感する。

「でも、私には手を、出すんですよね」

「なにが、言いたい」
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