女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 今日、作業長に言われた言葉が、じわりじわりと時間差で遥を苦しめた。

「昨日は軽率な行動を取って、すまなかった」と、謝られた後、晶との関係を邪推された。

「あんな高スペックの人と、対等じゃない付き合いは苦しいだけじゃない?」

「対等じゃ、ない?」

「だって、そうでしょう。保護者代わりだって言っていたし、住まわしてもらっているんでしょう?」

 だから仕事を始めた。
 それで対等になれたとは、思っていないけれど。

「あれだけの外見で弁護士だなんて、モテそうだし。大変な思いをするくらいなら」

「いいんです! 私はアキが」

「ごめん。余計なお世話だよね。遥ちゃんがつらくならないかなって、心配になっちゃって」

 その時は女嫌いの晶が、モテたって困るくらいなのだからと、思った。
 けれど心に引っかかって、晶が帰ってくるまでに、しなくていい想像をしてしまう。
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