女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
近頃は、少しずつ女性と自然に接するようになった晶。
職場に迎えに来て、パートの方とも普通に話していた。
年配と言っても、女性には変わりない。
今までの晶なら、話すのも嫌だっただろう。
そうやって、少しずつ女性への偏見が和らげば、女嫌いが治るのかもしれない。
もし、遥と肌を重ね、そっちの面でもトラウマを克服できたのなら。
晶は、誰とでも付き合えるようになるのではないか。
自分たちの付き合いの先にあるのは、自由になった晶と、自分だけ晶を忘れられない悲しい結末なのではないか。
そう思うと、寂しくて怖くて。
いや、もしかしたら、遥自身も自由になって、晶の元を巣立って行く。
そんな未来さえも想像してしまう。
それは遥にとって、輝かしい未来には思えなかった。
男性恐怖症を克服し、人並みに男性と接して、恋をして。
憧れていた世界のはずなのに、そこに晶がいないかもしれないだけで、途端に全てが灰色に思えてしまう。
自分たちの付き合いの先に、なにがあるのか、知りたくなかった。
それなのに、晶に聞かずにいられなかった。
自分たちの関係の先を、どう思っているのかを。