女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 近頃は、少しずつ女性と自然に接するようになった晶。

 職場に迎えに来て、パートの方とも普通に話していた。
 年配と言っても、女性には変わりない。
 今までの晶なら、話すのも嫌だっただろう。

 そうやって、少しずつ女性への偏見が和らげば、女嫌いが治るのかもしれない。
 もし、遥と肌を重ね、そっちの面でもトラウマを克服できたのなら。

 晶は、誰とでも付き合えるようになるのではないか。

 自分たちの付き合いの先にあるのは、自由になった晶と、自分だけ晶を忘れられない悲しい結末なのではないか。

 そう思うと、寂しくて怖くて。

 いや、もしかしたら、遥自身も自由になって、晶の元を巣立って行く。
 そんな未来さえも想像してしまう。

 それは遥にとって、輝かしい未来には思えなかった。
 男性恐怖症を克服し、人並みに男性と接して、恋をして。

 憧れていた世界のはずなのに、そこに晶がいないかもしれないだけで、途端に全てが灰色に思えてしまう。

 自分たちの付き合いの先に、なにがあるのか、知りたくなかった。
 それなのに、晶に聞かずにいられなかった。

 自分たちの関係の先を、どう思っているのかを。
< 106 / 160 >

この作品をシェア

pagetop