女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「足が冷たいんだろ。貸せよ」

 おずおずと出された足を挟んで、文句を言う。

「冷たっ。どうして、こんなに冷たいんだよ。いつもは、ここまでじゃ」

「それは」

 それは、直前まで晶とキスしたり、イチャついて、体温が上がっているから。
 そんな理由を言えるわけもなく、口を噤む。

 晶は、小さくため息を吐いた。

「なにを考えているのか知らないが、話したくなったら、話してくれ。ハルを腕に抱けないのは、お前が思っている以上につらいんだからな」

 こんなにも、酷い態度を取っているのに。
 晶の愛情が痛いほど伝わって、目に涙が浮かぶ。

 信じたいのに。
 どうしたら、信じられるんだろう。

 答えの出ない問いに囚われて、遥は胸が痛かった。

 遥から寝息が聞こえてきて、晶は小さく息を吐いた。
 目尻に溜まっている涙を拭うと、胸がキリキリと締め付けられる。

「俺たちの関係の先、か」

 ポツリと呟いて、晶も目を閉じた。
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