女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
帰る時間になっても、グズグズと悩んでいた。
湯たんぽとは、どこに売っているものなのか。
寝具店なのか、ホームセンターか。
ネットで買おうかと思ったが、今日に今日では届かないようだった。
いっそ、「どこに売っているかわからなかった」そんな理由を話して、あわよくば今晩も遥と一緒に寝てしまおうか。
浅はかで狡い考えばかりが、浮かんでは消える。
あんなにも、自分自身が一緒に寝るのを拒否していた頃が懐かしい。
一緒に寝るようになって、理性と欲望の狭間でジリジリしても、腕に抱いて眠る愛おしさには敵わないと知った。
ため息混じりにスマホを確認すると、遥からメッセージが届いていた。
内容を視界に捉え、失笑を漏らす。
『湯たんぽ、買いました』
ジタバタしているのは自分だけで、遥は着実に前に進んでいるのかもしれない。
無駄足になる馬鹿な行動だと知りつつも、晶はある決意の元、寄り道をしてからマンションに帰った。