女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 諦めてベッドに横になり、異変に気が付いた。
 飛び起きて、遥の部屋まで急ぐ。

 ノックをするのも煩わしく感じながら、「ハル」と呼びかける。

「はい」

「入ってもいいか」

 呼びかけに、返事がない。

「湯たんぽ、買わなかったのか」

「買いましたよ」

「それは、一人で寝るために?」

 先ほどの寝室でベッドに入った時、そこは温かった。
 今の今まで誰かが入っていたであろう、ぬくもり。

「アキを、待っているために」

 小さな声が聞こえ、胸が締め付けられる。

「ごめん。なかなか寝に行かなくて。一緒に寝よう」

 少しして扉が開いた。

「アキ、メッセージ、全部読まなかったんですか」

「え」

 スマホは寝室に置いたまま。

「悪い。『湯たんぽ、買いました』の一文しか」

 そう言うと遥は涙を浮かべ、「もう。馬鹿みたい」と、晶にもたれかかった。
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