女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順
そこからは静寂が降りて、ため息を吐く。
「悪い。嫌な思い、させたよな」
「いえ。アキは、平気ですか?」
「平気ではないが、電話の方が顔を見なくていい分、冷静でいられる」
そう言いつつも、冷たくなった指先を温めるように、遥の体に腕を回す。
「ハルが付き合ってくれたから、いつもより言い分を言えた気がする。ありがとな」
力なく首を振る遥が「やっぱり、私も家賃を払います」と言う。
気にしていた上に『寄生』と言われ、落ち込むのも無理はない。
電話に付き合わせたのは、失敗だったかと、後悔の念がよぎる。
「気にするな。ここ、買ってるから。家賃はない。生活費も、別に。その分、ハルに家事の負担をかけてる」
「買って、いるんですか」
気を遣わせないように言ったつもりが、ハルの表情が曇る。